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Channel: 全体的にこれは酷い
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"8時頃、妻から電話があった。今からお客様のところにケーキを届けに行かなければならいので、車で来てくれ、というわけだった。 いそいで店に向かい、妻を助手席に乗せて道々事情を聞くと、スタッフが在庫数のカウ..."

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8時頃、妻から電話があった。今からお客様のところにケーキを届けに行かなければならいので、車で来てくれ、というわけだった。

いそいで店に向かい、妻を助手席に乗せて道々事情を聞くと、スタッフが在庫数のカウントを間違えて、予約分のケーキを店舗で売ってしまったらしい。隣駅の姉妹店に1台余ってるというので、それを受け取ってそのままお客様の家まで持って行く、ということだった。

まあ数を間違えてしまったのはスタッフの責任である。完全にそこは店側のミスだ。しかしその男性の客は、「今から20分以内に家まで持ってこい」と言うのだという。住所を聞くと、隣駅とは反対方向。つまり駅としては、1つバックして3つ前進ぐらいの距離を行くことになるわけで、いくら夜とは言っても20分で行ける距離ではない。

案の定途中で20分経ってしまい、妻が助手席からお詫びの電話を入れる。すると店長ごときでは話にならないから、マネージャークラスの人間とこれから一緒に詫びに来いという。妻もさっきからマネージャーに連絡を取ろうとするが、ケーキ屋の25日だ、バックヤードは戦場である。そう簡単には捕まらない。

何度目かの電話でようやく捕まり、事情を説明すると、マネージャーのほうからも詫びの電話を入れてくれるという。とりあえずケーキとお詫びのクッキーを妻が届けるしかない。10分遅れで現場に到着し、妻がケーキを届けに、マンションの中に消えていった。

しばらくして放心したような顔で妻が車に戻ってくると、今まで必死にこらえていた涙がこぼれだした。くやしいのと、安心したのと、自分で数をチェックしなかった後悔が、いっぺんに吹き出したのだろう。

「大丈夫、大丈夫。」事情があまりわからない僕には、それぐらいしかかけてやる言葉がない。

クリスマスとは本来、家族との幸せを祝い、恵まれない人たちに施しをする行事のはずであるが、日本では宗教的な意味合いはほとんど失われ、家族はみんなで鳥とケーキを食い、リア充はイルミネーションがあるところに集まり、非モテは「リア充死ねっ!」のかけ声とともに正拳突きをするという行事に姿を変えている。

まあ今時クレームを言う人たちなら、責任者出せぐらいのことは言うのは仕方がないことだろう。数を間違えた責任はこちらにある。みんな家族と過ごすクリスマスは大事だ。ただ20分で持ってこいだの、責任者と一緒に謝りにこいだの、そこまで言う必要あるか? その意に沿うために、うちでは7歳の娘が家で小一時間、一人でテレビを見ながら留守番することになった。クリスマスの夜になぜこんなことに。とてもやり切れない気持ちになった。

言うだけ言ってみる、ごね得、という風潮が、特に最近は目立つようになっているような気がする。金払ってるんだから、というかもしれない。でもそんなことばっかしてると、絶対日本は良くならない。ちなみに今回の件に関しては、ケーキ代は全額返金したそうである。少なくとも僕は、もうそういったごね得のようなことはやめて、多少の損はしても気持ちよく生きていくやり方に変えよう。きっとその裏側では、誰かの子どもが寂しい思いをしているかもしれないから。



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コデラノブログ4 : クリスマスの夜に - ライブドアブログ

皆が余裕ないね。売る側も、買う側も。たとえばこのエントリでは20分という数字が一人歩きしているけれど、予約カウントをミスったことに動転して、それをリカバリーするはずだった直接お届けについても、余裕をもった時間で客に伝えられなかったことが不幸の連鎖なんだろうな。

ただ、客の側から見た場合、来店したのに予約したはずの自分のケーキがなく、20分で届けるといわれたのに、またもや手に入れられないと伝えられると、別に「ごね得」じゃなくても怒るだろう。この客が怒っているのは10分遅れたことじゃなくて、二度続けて約束を破ったからだよ。しかし、客にしても20分が30分になる追加的なデメリットはほとんど無いはずだというのも確か。このエントリはトラブルの渦中にあった当事者の夫が書いているから、どうしても感情的にならざる得ないのはわかるのだけれど、問題は「ごね得」を止める風潮が実現できれば日本が良くなるかというと、そんなことまずあり得ないよ。問題は単なるカスタマリレーションの方法とその合理化だけだと思うよ。

日本のサービス業の生産性は製造業に較べて著しく低いということがOECDの調査でも明らかになっているけれど、こう言ったトラブルを「ごね得」にさせないように、合理的に捌けるシステムをつくっていくことが必要なんだよね。製造業で中国やインドに負けつつあるのなら、その補完として内需のサービス業の生産性をあげるようにしなきゃ。そのためには、解雇規制に守られた高コストな労働力を合理化するのと同様、こういうカスタマリレーションの合理性や生産性を高めないといけないよね。顧客にきちんと説明することで1時間待ってもらえるなら、そのような説明をするべきだし、顧客との約束を何度も破るような仕事の方法はそもそもそのカスタマリレーションシップのやり方が間違っていると考えなければ「絶対日本は良くならない」よ。

—-追記
「20分という数字は客が言ったことで店側ではない」という反論を持つリテラシーに問題がある人がreblogする人の中にいるようだけれど、例えその数字は最初に客が言ったのだとしてもそれに店が合意したのは明らかだ。ここで問題なのは、実現が難しい「20分」に合意したのが一番の問題だということだよ。「ごね得」とカスタマリレーションの問題を混同してはいけない、といことだよ。

(via kashino)


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