
via gyazo.com
この数ヶ月前に話題になった、ノンネイティブスピーカーの日本人に恐怖を与えるBerlitzの広告だけれど、以下の意見のうちどちらが正しいの?
いままでのブログのコンテンツの質から言うと服部圭郎氏のほうが正しい気がするのだけれど。つまり春具氏のJMMにおける普段のコンテンツがあまりにヒドすぎるのでとても信頼が置けないという消去法なのだけれどね。
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ベルリッツの噴飯ものの広告:アーバン・ダイアリー 服部圭郎氏
http://bit.ly/eOaJjd先日、電車に乗っていて、ベルリッツの車内広告を観た。綺麗なOLの顔写真と一緒に、「部長の山本はまもなく戻りますので、そこに座ってろ」という大文字のコピー。その後、「あなたの英語は、こんなふうに場違いに聞こえているかもしれません」と広告は続く。
ふぜけてんじゃあないよ。なんだ、この酷い広告は。英語には日本語のように洗練された複雑な敬語システムはない。ドイツ語にはDuとIhrのような敬語ではないが、親近さを区別する表現はあるが英語にはない。すなわち、「そこに座ってろ」というような表現を唐突にすることはない。例を挙げる。たとえばGo Aheadは、「早く行け」とも捉えられるし、「どうぞ、お先に」とも捉えられる。その違いはイントネーションで決まる。…
つまり、この広告のようなコピーを英語でいうことは難しいのである。「まもなく戻りますので」と言っているので、イントネーション的には丁寧である。したがって、その後、たとえばPlease Sit Downではなく、Sit Down Thereとストレートな命令型で言ったとしても、ニュアンス的には「そこに座っていて下さいな」とくだけてはいるが、決して「そこに座ってろ」というほどの失礼な言い方になることはない。そもそも、教授でも基本的にファースト・ネームで呼ぶのがアメリカ流である。これは大学院時代、イギリス人の留学生でも抵抗があったようなので、基本的にはアメリカ、特に西海岸のカルチャーかもしれないが、日本語のように文章で、失礼なニュアンスを表現するのは英語では不可能に近い。したがって、ベルリッツの広告のような事態はあり得ず、単に日本人の英語コンプレックスを突っつくことだけを意識したような卑劣なコピーである。もし、そうでなければベルリッツは英語を教えているが、英語と日本語の違いも分からないということだろう。どちらにしても、このようなコピーをどうどうと広告にする学校に行って、英語ができるようになることはないであろう。
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[JMM]「場違い」オランダ・ハーグより/春具氏
http://bit.ly/fpdaAu広告には秘書と思しき美人が立ち、わたくしにむかって、「部長の山本はまもなく戻りますので、そこに座ってろ」と言うのです。驚いて広告をさらに読み進むと、その下に、「あなたの英語はこのような場違いな印象を残してはいませんか」と書いてあり、そのような間違った印象を相手に与えないために、ベルリッツで勉強して正しい英語を話せるようになりましょうという意味の説明がついていた。状況に応じた表現をきちんと使わないと、たとえ文法的に正しくとも、あなたのトンチンカンな英語は相手に対して失礼ですよというのです。
数日して東京在住の知り合いの不良外人たちと会った時、わたくしはこの話を持ち出し、「あの広告、知っている?」と聞いてみた。彼らは電車に乗っても車内広告を見回すような外国人ではないが、やはりそれなりに視覚から洗脳されていると見えてベルリッツの広告のことは知っていた。一様に笑いながら、うんうん、あの広告はオレもよくわかるな、ああいうアンバランスな英語もよく聞くねと言った。あの秘書のお姉さんが言う「そこに座ってろ」は、おそらく sit over there だろうけど、ひょっとすると彼女、shit と発音しているかもしれないぜとも言った。
Sit over thereは、わたくしが指摘するまでもなく、文法的に間違ってはいない。「英語において、命令形は動詞の原型を文頭に置き、主語は省略される」とわたくしたちは中学の英語の授業で先生に教わったわけですが、おそらく外国で一度も暮らしたことのない、そういう先生に外国語を教わる弊害は、こういう(ベルリッツが言うところの)場違いな間違いをひきおこすことがあるのですね。
文法的に正しくとも、山本部長を訪問した受付で、sit over there と言われると、そこに座って待ってな、といわれたような気になってしまいます。見下されているような気になる。動詞の原型を文頭に置く命令文は、このように威嚇し見下す、といって言いすぎならば、威張っているような印象を与えてしまうのであります。…
sit over thereなんて学校英語でしゃべれるようになるとは思えん。