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Channel: 全体的にこれは酷い
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"2機の戦闘機が同時に敵艦を攻撃する。2機で攻撃すると撃沈できるが、1機だけだと撃墜されてしまうとする。ここで一方の戦闘機が他方に信号を送り、他方がそれを受信したことを確認したら攻撃するが、航空無線にノイ..."

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2機の戦闘機が同時に敵艦を攻撃する。2機で攻撃すると撃沈できるが、1機だけだと撃墜されてしまうとする。ここで一方の戦闘機が他方に信号を送り、他方がそれを受信したことを確認したら攻撃するが、航空無線にノイズがあって受信できない可能性があるとする。この2機は、どうすれば協調して敵艦を攻撃できるだろうか?
これは協調攻撃(coordinated attack)というゲーム理論の有名な問題で、その答は、少しでもノイズがある限り協調攻撃はできないというものだ。戦闘機Aの出した信号を戦闘機Bが聞き取れなかったら、Aだけで攻撃すると撃墜されてしまう。Bがその信号を受信しても、Bの返事をAが受信できないと協調攻撃できない・・・というように無限ループに入ってどちらも攻撃できないのだ。

これはRubinsteinの有名な論文で証明され、全員が同じことを知っていることを全員が知っている・・・という共有知識をもつことがいかにむずかしいかの例としてよく引用される。協調して行動するときは、少しでもノイズがあると協調に失敗するので、全員が完璧に情報を共有しないと行動できないのだ。

日本の企業の特徴は、アフター5のつきあいまで含めた濃密な人間関係で、組織内に均質の共有知識ができていることだ。そこではノイズやKYは徹底的に排除され、組織で決めると全員が何もいわなくても整然と動く。少しでもリスクがあると、それを恐れて動かない人が出てくるので自分だけが動くと危ない・・・という無限ループが生じるので、リスクはゼロにしなければならない。

もちろん実際にはリスクはゼロではないので問題は起こるが、そういう情報は無視され、既存の共有知識の中で処理しようとする。組織が存続の危機に瀕したとき初めて共有知識を更新するが、全員の知識を同時に変えなければならないので、変化が困難で時間がかかる。これが日本の企業の意思決定メカニズムの中核にある問題だ。くわしいことは、拙著の補論を参照されたい。”

- 池田信夫 blog : 日本人はなぜリスクをゼロにしようとするのか - ライブドアブログ

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