新作TVアニメ企画を話し合うGONZOの会議室の空気は、沈んでいた。
先行発表したOVAの売り上げは、振るわなかった。
監督候補者も、脚本候補者も、皆が逃げ出した。
作中に必要な航空母艦・赤城の3Dデータが、GONZOには無かった。
それどころか、
公式サイトを立てるサーバすら、当てが無かった。
お金が、無かった。
GONZOの株価は、下がりつづけていた。
「ボクが何とかしますから!」
軍事考証担当の鈴木貴昭は、そう言って会議室を飛び出した。
胸に秘めた野望だけが、支えだった。ミリヲタ業界に特需を、呼びたかった。
「鬱展開はありません。戦闘の際、少女たちは邪魔になるのでスカートを脱ぎます。」
説明するキャラクター原案の島田フミカネの口調は、いつになく熱を帯びていた。
自分が生んだキャラクターたちに、スポットライトを当ててやりたかった。ただ、それだけだった。
しかし、会議を取り仕切る角川担当者の反応は、冷ややかだった。
「DVDの出荷予定数は、3,000枚がギリギリの線だ。」
それがビジネスの現実だった。
そのアニメは全く期待されて、いなかった。
その時、一人の男が口を開いた。
高村和宏。
この作品が初めての監督だった。
周囲の誰もが、「やめろ」と止めた仕事だった。
追い詰められていた。
しかし、彼は逃げなかった。
彼には譲れない信念が、あった。
(「可愛いくなくちゃダメだ、可愛いくなくちゃダメだ、可愛いくなくちゃダメだ….」)
高村は意外な事を言った。
「最初から、はかないままで行きましょう。そういう世界なんです!有史以前から!!」
会議室が、どよめいた。
無理だ。高村以外の誰もが思った。
そんなパンツ丸出しアニメは、前代未聞だった。
一人の男がふらりと立ち上がった。
角川スニーカー文庫の担当者だった。
震えるくちびるから言葉が、こぼれた。
「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」
奇跡は、起こされた。
後に、庵野秀明をして「高村のパンツには魂が宿っている」と評せしめたTVアニメ
『ストライクウィッチーズ』。
その奇跡の大逆転劇が、ここから始まった。
♪風の中のス〜バル〜♪
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