“ 何を言いたいのかというと、私は、海外経験を積んだ人びとのうちに、一定数、勘違いをする組の人間がいるということを指摘しようとしている。彼等は、海外の生活から、傲慢さだけを身につけて帰国便に乗る。で、赤塚不二夫師が描いたところの永遠のキャラクター、イヤミ氏みたいな調子の人間になって帰ってくる。
それにしても、1960年代にあって既にイヤミ氏という人物像を造形し得た赤塚の炯眼は他に比べる対象を持たない。「ざんす」という江戸時代の幇間じみた中性的な語尾。何かにつけて、「パリでは」と、舶来の知識をひけらかす態度。取ってつけたような蝶ネクタイ。派手な色の背広。後ろ髪を内向きにカールさせた長髪。磨き上げられた出っ歯。細い口ひげ。まったく文句のつけようのない観察ではないか。
中でも「シェー」のポーズが出色だ。島国の人間にあるまじき大仰なボディーランゲージ。片方だけ伸びた靴下が象徴する人格の腐敗。直角に曲がった手首。「おフランス」という接頭語の使い方が醸す悪趣味。他人を見下している人間の滑稽さをこれほど見事に図案化したキャラクターは空前絶後だ。”
- 内向きな若者じゃダメですか？：日経ビジネスオンライン (via wideangle)
それにしても、1960年代にあって既にイヤミ氏という人物像を造形し得た赤塚の炯眼は他に比べる対象を持たない。「ざんす」という江戸時代の幇間じみた中性的な語尾。何かにつけて、「パリでは」と、舶来の知識をひけらかす態度。取ってつけたような蝶ネクタイ。派手な色の背広。後ろ髪を内向きにカールさせた長髪。磨き上げられた出っ歯。細い口ひげ。まったく文句のつけようのない観察ではないか。
中でも「シェー」のポーズが出色だ。島国の人間にあるまじき大仰なボディーランゲージ。片方だけ伸びた靴下が象徴する人格の腐敗。直角に曲がった手首。「おフランス」という接頭語の使い方が醸す悪趣味。他人を見下している人間の滑稽さをこれほど見事に図案化したキャラクターは空前絶後だ。”
- 内向きな若者じゃダメですか？：日経ビジネスオンライン (via wideangle)