“実際自分の人生の大半を費やす八時から五時までの時間をどういう風にして過ごすんだろうか。それは”仕事”すなわち、英語で言えばlaborだかworkだか判んないけれども、日本語では” 仕事”と言うんだよね。仕事、でカタつくわけさ。でもworkとかlaborとかいろいろあるわけでしよう。jobだとかさ。でも、businessとか、これひとつひとつ意味違うんだよ。要するに、workとかlaborとか、どっちだか判んないけど、たぶんね、 workなんてのはたぶん「課せられた仕事」なんだよ。要するに、刑務所で重労働何年とか、課せられた仕事のことをworkと言ったりね、laborって労働という意味であって、businessってのはお金をもらうために何かやるとかね、商業的な意味があったりね。jobってのは仕事、それは仕事内容を別として、あらゆるものを大体jobとかね。それからoccupationっていう、契約みたいな意味ね。occupationとかいっぱいあるわけさ、意味が。英語だとねえ、七個か八個あるんだよ、労働とか仕事とかあらゆる意味が。日本だと”仕事”になっちゃうんだよ。だから、一個一個意味が違うんだよね、英語ってのは。日本だと「ちょっと仕事だから」って言うと、仕事っていう中にね、全部含まれてるわけ。でもアメリカは仕事の内容によっていちいち意味が違うわけ。work,labor,jobだ occupationだ、businessだ、なんて。だからね、それはね、やり遂げようと思えば、それは——要するに「大変ですね、仕事」「オレは仕事でやってるわけじゃない」ってよく言うじゃない。遊んでるんです、っていうさ。大変とか大変じゃないとかいう意味じゃない、オレはそれをやらなきゃ生きられないんです、って言うじゃない。魚を見てだね、この魚は泳ぐことが仕事だと思わないわけさ。魚は泳ぐんだよ。だから英語で”Fish can swim”とかいうのは、日本語に訳すと「魚は泳ぐことができます」っていうんだけど、そうじゃないんだよ。ホントは訳せば「魚は泳ぎます」なんだよ。”can”っていう言葉の使い方も、やっぱ日本語は違うんだよね。「魚は泳ぐことができる」、当たり前で、泳ぐことができるんじゃなくて魚は泳ぐんだよ。そういうような扱いが判ってないとダメなんでね。だから、大芸術家なんて言ってさ、朝から晩まで寝ないで彫刻彫ったり石に何か——あるだろ、長崎のこんな何とか像とかさ、グランド・キャニオンに、インディアンのこんなのあるだろ?”
- たけしRADIO - ANN 1981/01/01 - 放送第1回目 (via otsune)
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