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"息子 会計をしっかり学んで大学を出たのはいいけれども、しかし、就職活動で挫折を味わった。当時ビッグ5と呼ばれた大手会計事務所のアーンスト・ヤングに就職しようとして、みごとに失敗した。 親父 アーンスト・..."

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“息子 会計をしっかり学んで大学を出たのはいいけれども、しかし、就職活動で挫折を味わった。当時ビッグ5と呼ばれた大手会計事務所のアーンスト・ヤングに就職しようとして、みごとに失敗した。
親父 アーンスト・ヤングを受けたのか。
息子 社長にはいたく気に入られたんだけど、なんか大学院出の競争相手がいて、負けちゃった。日本企業を相手にするジャパンデスクの枠が一人しかなかったんだよね。あとから考えると、求職先をジャパンデスクに絞ったのが失敗だったなと後悔しているんだけどね。それが1回目の挫折かな。
親父 そうだね、あのときは本当に落ち込んでたもんな。電話でも伝わってきたよ。
息子 ただ、そのあとに必死になって就職活動をした。求人している会社を全部ネットで調べて次々応募した。最初にオファーもらったところが、通信関係企業。当時は2000年問題の直前でITバブルの前だったから、テレコム系がまだ伸びていたときで、ATTに対抗する独立系の通信会社が事業を拡大していた。ATTなどの大手はやっぱり料金が高いからもっと安く回線サービスを提供するような。そういう会社からオファーもらったけど、俺は外国人だから、法的問題がクリアできそうにないから、諦めてくれっていうふうに電話を受けたこともあった。で、とにかくずーとずーと受け続けて、日系企業にやっと就職できた。
親父 とりあえず。
息子 とりあえず、賃金は大卒最低の2万5千ドル、格差社会の一番下。でも、他に仕事がなくて仕方がなかった。
親父 いくらアメリカでも2万5千ドルはきつかった?
息子 うん、よく生き延びられた。でも、そのときが1番貯金できた。一年で1000ドル残った。
親父 それは、女に貢がなかったからだよ。
息子 貢げないんだよ、2万5千ドルの年収じゃ。ガールフレンドとデートもできない。日々生きていくのだけで精一杯。
親父 あのときのフラストレーションもすごかったね。
息子 あの給料では先になんの望みもなかったからね。
親父 とにかく交渉して給料上げてもらえよって言ったよね。
息子 そう。俺の仕事よりもっとアシスタント的な仕事の人が3万5千ドルもらっているっていう話を聞いたから、あの人が3万5千ドルなんだから、俺のほうがもっと頭使う仕事をしているんだから、3万5千ドルに上げてよって言った。「難しいと思うけど、社長に言ってみると」と、ボスはブツブツ言っていたけれど、社長に言ったら1発で通った。1万ドル上がった。率にして30%から40%ぐらいは上がった。
親父 3万5千ドルだったら、まあまあなの、ちょっと余裕ありか。
息子 それでも、前年と比べりゃましという程度だよ。で、その後、ポンポンと5万ドルぐらいまで上がった。2年連続で、アシスタントマネージャーからマネージャーに昇進もした。もちろん最初から、ビックファイブの会計事務所にいっていれば、最初から5万ドルなんだけどね。就職に失敗した分だけ、到達が遅れたよ。でも、最底辺の生活を身をもって体験したっていうのは貴重な体験だったと思う。今、日本が格差社会って言われているけど、確かに、あの状態が10年続いたらどんな人間でも腐ってしまうと実感したからね。”

- Eastedge1946 第八章

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